漢字の因数分解を続けていくと、漢字が持つ意味の特性が分かってきます。
さんずい:水
にんべん:人
くさかんむり:草などの植物
などなど、数多ある漢字をその意味で分類するのに役立っている訳です。
それで、ある時ふと頭に浮かんだことがあります。
うかんむりは家などの建物に関する意味を持っているのですが、“宇宙”は皆さんご存知の通り、建物じゃないですよね(笑)
では何故、宇と宙で宇宙を表すのか、早速因数分解してみました。
まず、宇です。
于は『弓なり曲がってまたがる』という意味を持っていて、うかんむりが合わさることで、家屋の中でまたぐように覆う部分、すなわち軒の意味を表しています。
軒は屋根の下の、建物の外壁より外に張り出している部分です。ここから転じて、空を見上げた時に広がっている無限の空間を表すようになったのかも知れません。
一方の宙ですが、音符の由は、深く通じる穴の意味を持っていて、奥深く通じる建築物の様子から、永遠に通じる『時』の意味を表しています。
『無限の空間』を表す“宇”と『永遠に通じる時』を表す“宙”を合わせて“宇宙”という言葉になったんですね!
確かに、“宇”と“宙”どちらも、本来は建物に関する意味を持った漢字であることがよく分かりました!
また、“宇宙”という言葉は、中国の紀元前2世紀(前漢時代)頃の百科事典「淮南子(えなんじ)巻十一 斉俗訓」の中に出てきます。
「往古来今謂之宙、四方上下謂之宇」と書かれていて、「往古来今これ宙という、四方上下これ宇という」と読みます。
「往古」とは過ぎ去った昔のことで、「来今」とはこれから来る今、つまり、現在を含む未来ということで『時間』を意味します。
「四方上下」とは、前後左右上下の全方向のことで『空間』を意味します。
古代中国では、既に時間と空間の概念が存在していたんですね!
時間と空間の概念が存在していたからこそ、“暦”というものが確立されたのかも知れませんね。
それから、漢字の成り立ちや用法の分類“六書(りくしょ)”では、宇と宙どちらも形声文字に分類されます。
六書や形声文字についてはこちら
今回も良い勉強になりました。