今回因数分解する漢字は【聡】です。
「さとし」さんや「あきら」さんのように、この漢字もお名前に使われることが多いです。
“耳がよく聞こえる”や“理解力や判断力に優れていること”という意味を持っていますね。
因数分解するとどうなるか、見ていきましょう。
【聡】は耳と忩(悤ソウ)が合わさった形声文字です。(形声文字についてはこちら)
悤が音符ですが、この悤が總(総の旧字です)に通じて、“集める”という意味になります。
これが耳偏と組み合わさって、耳の神経を集中する、耳さとい(聴覚が鋭い・もの分かりが早い)、という意味になる訳です。
では続いて、【総】の因数分解もしてみましょう。
【総】には“多くのものを集め合わせる”や“全て”という意味で用いられます。
この【総】も前述の【聡】と同じく形声文字で、糸と悤(忩)に分けられます。
音符の悤は、束に通じて、束ねるの意味で使われています。
多くの糸などを束ねる、という意味から、“すべる”や“ふさ”という意味を表しています。
【聡】と【総】では、音符の悤が違う意味で使われていることが分かりますね。
更にこの【総】ですが、同じ漢字として他に5つあるんです。
それが、總・捴・摠・緫・揔です。
糸偏のものは分かるとして、手偏のものも同じということは、“手で糸などを束ねる”という捉え方なのでしょうね。
ここまでくると【悤】も見てみたいですね!
【悤】は怱・匇・忩も同じ漢字です。
実はこの【悤】の本来の字は【怱】で、心と匆(囱ソウ)からなる形声文字です。
音符の囱は、促に通じて、“心が上がる”や“慌てる”という意味を持っています。
組み合わさる偏などによって意味が変わってくるところがまた面白いところですね。
今回も良い勉強になりました!